アト秒科学とは

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アト秒レーザー科学は、物理・化学・生物・医学の分野を包含した学際領域であり、光触媒や太陽電池などの光機能材料の物性研究と新しい材料開発や、医療診断技術を含む生体観察技術の開発につながる新しい研究分野として期待されています。

アト秒レーザー科学の成果を積極的に活用することにより、物質科学や生命科学における知のフロンティアが開拓されるだけでなく、新しい工学技術や計測技術が発展すると期待されます。

イメージング、化学反応追跡・制御

分子に対するアト秒時間分解計測から分子内の電子波束発展や多電子系における電子間の相互作用のメカニズムが解明されます。高度に制御された電子波束によって誘起される化学反応を、アト秒時間分解分子イメージング法で実時間追跡することによって、究極の化学反応追跡・制御技術の確立が期待されます。

物質材料開発・超高速エレクトロニクス技術開発

分子性固体における電荷分布の非局在化過程や界面における電子移動の初期過程が解明され、その時間領域の知見をもとに、有機デバイスや高機能触媒、太陽電池などを開発する際の新たな設計指針が得られると期待されます。また、金属ナノ構造体中の協奏的な電子運動によって誘起されるプラズモン増強電場の時間発展が解明され、ナノサイズの超高速電子デバイスが実現されると期待されます。さらに、アト秒精度の光波合成技術を確立することによって、ペタヘルツオーダーの整形電場による超高速エレクトロニクス技術の発展が期待されます。

生物学・創薬・医療への応用

軟X線領域のアト秒パルス光を顕微鏡法や回折法の光源として用いることによって、“高い空間分解能”の生体イメージングが可能となります。さらに、高強度超短パルスレーザーによる量子放出過程を利用したテーブルトップの電子・イオン加速器、パルスX線源が開発され、時間分解分光装置や時間分解イメージング装置として広く創薬・医療分野の研究開発に提供されると期待されます。